不正な生前贈与とは

  生前贈与は、財産を持っている人が誰かに自分の財産をあげたいという意思を表示してはじめて有効なものとなります。

  しかしこの「意思表示」には法律上の明確な定めがないため、本人の了承なく書類を偽造するなどして、勝手に生前贈与をするケースが後を絶ちません。

  もちろんこのような生前贈与は不正であるため無効であり、場合によっては刑法で処罰されることもあります。

不正な生前贈与の例

認知症の父親から、多額の現金による贈与をうけた

  父親が認知症である場合、正確に贈与の意思を表示することはできないため、不正な生前贈与となります。

  自分の父親が認知症になる前に「いつかおまえにあげる」などの意思を表明していたとしてもダメです。

  過去にどのような意思表示をしていようとも生前贈与をするときに、正確に意思表示ができなければ、不正な生前贈与となります。


母親は贈与する気がないのに、母親の実印と印鑑証明を使って土地の名義を変更した

  母親が実印と印鑑証明を貸してくれたとしても、贈与するつもりがなく貸したのであれば、贈与による土地の名義変更は有効なものとは認められず、不正な生前贈与となります。

  実印と印鑑証明が何に使われるかわからないで貸してしまった母親に落ち度はあり、裁判になれば争いになるところではあります。

  しかし、贈与の意思がないことが明確であるなら、その土地の名義変更は無効なものと判断されるべきでしょう。


病気の親を介護するため親の預金通帳からお金を引き出したついでに、自分に対する生前贈与としてお金をもらった

  親の介護や治療費を支払うため、親から頼まれて子供が預金を引き出すことは、 問題ありません。

  しかし、いくら自由に預金を引き出すことを認められたからといって、親が介護が治療費以外の使用を認めていなければ親が子供に贈与の意思表示をしたとはいえず、不正な生前贈与となります。

  親の介護で大変だから自分へのご褒美に、などといって勝手に現金を使用すると、相続の時にもめることになります。

  また、刑法上の犯罪に当たる可能性もありますので、注意してくださ い。

父親が憎くて縁を切りたい、相続の時は何もいらないから、生前贈与で先にもらいたい

  相続の時は何もいらないから生前贈与で今のうちにもらっておきたい。

  これは、父親が生前贈与の意思表示をすれば可能ですが、そうでなければできません。

  日本の法律では、相続の時にはいらないから今の内に請求しておく、ということはできないのです。

  生前贈与とは、あげる人ともらもらう人の意思表示が合致して、初めて成立するのです。

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